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「そうだ」
何か閃いたように、わざとらしく両手を合わせる。
「ねぇ、いつまでも、"あなた"じゃ味気ないと思わない?柊愛佳さん」
「どうして」
「『なんで私のこと知ってるの?』」
女生徒は私の言葉を横取りする。
「お姉さんとゲームしようよ。僕が何故名前を知ってるのか、そして、僕が誰なのかを、当てるゲーム」
「なんで」
そんなことに付き合わなければいけないのか。
「知ってる?」
急に真面目な顔になる。
「助けた命は、助けた人の命なんだって」
意味がわからない。が、私に選択肢はない。それだけは分かる。
と、唐突に急激な睡魔が意識を奪おうとしてくる。なんでこんなタイミングで、何ともなかったのに―。
「眠くなってきた?」
その声すら、頭に響くような、遠くでなっているような、距離感が全く掴めない。
「いいよ?寝ても」
少し強引に寝かせられても、抵抗出来ない。
そのまま、何も考える間もなく、女生徒の膝の上で意識は闇に溶けていった―。
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