女生徒

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 「死のうと思って」  思わず、話してしまっていた。選ぶ言葉も浮かんでこない。  「死んで楽になろうと」  「死んだら、楽になれるの?」  私が一番突かれくないところをついてくる。  鋭い目が、全て見透かされているんじゃないか、と錯覚させてくる。  「少なくとも、今よりは」  生きてることが苦痛なこともあるのかもしれない。  一度の大きな痛みと引き換えに、永遠の平穏が手に入るのなら、安いものでは無いだろうか。  「だから、私のことは放って置いてください」  「それはできない、かな」  ニコニコしたまま、はっきりと拒否される。  「目の前で死のうとしてる人、見逃せると思う?」  さっきから正論で返してくるところに腹が立つ。それに対して何も言い返せない自分にも。
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