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「どもーっ! ヒカサでーっす!」
「はい、どーもーっ! シュウトでーっす! 二人合わせてー?」
「「ヒカシューでーっす!」」
「はい、今日も始まりましたヒカシューチャンネル。今日、僕たちはどこに来ているでしょーかっ!?」
「はい、なんとですねー、タシケントの北東50キロの街、ダブロフニクに来ています」
「そう、皆さん知ってますよねー! 8年前にエイリアンの宇宙船が落下して以来、地球を守る戦場になっているウズベキスタン、その最前線でーす」
「はい、こちら衛星画像です。この緑色のぶよぶよした感じのがエイリアンの占領地ですねー。生態系が変わってるのがよくわかりますねー。そして、皆さん、見えますかねー? ここにはウズベキスタン軍、NATO軍、旧ロシア軍を含む世界の義勇軍が集まってるんですねー」
「みんなー、盛り上がってるか―?」
「……日本語は通じないみたいですねー」
「じゃあ、僕たちで盛り上げていきましょう。じんるい?」
「「万歳!」」
「ちきゅう?」
「「最高!」」
「イエーイ!」
「ギャハハハ!」
「せっかくだからね、インタビューしていきましょう」
「はいここで、TTCの全自動翻訳機、スモールトークが登場でーす!」
「人類の代表的な言語200種類に対応する超小型軽量翻訳機です。わずか2時間の充電で8時間使用可能、対応言語はどんどん増えています。TTCのサイトからダウンロードしてくださいねー」
「さあ、それでは聞いてみましょう。こんにちわー!」
「お前ら、誰の許可得て撮影してるんだ!」
「すいませーん!」
「ギャハハ!」
「やっぱウズベク正規軍は厳しいっすねー」
「あっちの義勇兵に話を聞いてみましょう、こんにちわー、あ、体調悪そうですねー、だいじょうぶですかー」
「コカイン……コカインが切れた……」
「こんにちわー!」
「……血が、血がとまんねえよう」
「こんにちわー!」
「水も食料も弾薬もない。何もないんだ。俺たちはただ的になるだけの存在――」
「――あ、何するんですか。横から出てきて、いきなりカメラをとりあげようとするなんて! 僕たちは日本でチョー有名なユーチューバーなんですよ!」
「おい、まずいよ、この人上官だよ、俺たちの」
「あ、やっべ」
「お前たちも一応、義勇兵という身分でここに来ているはずだ。金を払っただけで、訓練もなにも受けていないがな。軍規には従ってもらう。そして、俺の部下たちを笑いものにすることは許さない。決してだ」
「「すみませーん」」
「……行ったかな?」
「行ったね」
「なんかムカつくよねー、あーいうの」
「僕たちみたいのが資金供給しなきゃ、組織を維持できないくせにね!」
「あ、攻撃が始まったみたいだよ」
「じゃあ、気を取り直していきましょう。はい、エイリアン軍のミサイルが数百本、空に上がっていますねー。もうすぐこちらに落ちてきます。迎撃レーザー砲が発射されましたねー……あたりませんねー」
「さて、ここでこれの登場です!」
「「JHIのリパルショングレネード、一万発使ったらどーなるの!?」」
「やっとタイトルの品が出てきました。世界七十か国以上の軍隊で使われている歩兵用防御兵器、重力反射手りゅう弾! 今回これ、一万発そろえてきました! 高かったねー!?」
「八億円したもんねー!」
「本来これは、敵の攻撃正面に向けて投げつけるわけですが、今回は僕らのまわりにびっしり配置してあります。そしてこのPDAから指令を送るとー?」
「一気に爆発します! さあ、敵ミサイルも近づいてきました 早速やってみましょう」
「この赤いアイコン、これをタッチするだけです。わくわくするねー!」
「秒読み始めるよー! 5! 4! 3! 2! 1! スイッチオン!」
「うひゃー!」
「ギャハハハ!」
「落ちてきたミサイルが何重にも跳ね返ってあっちこっちで爆発してますねー。あーあ、みんな死んじゃったみたい!」
「燃えてるねー! そしてそこらじゅう血だらけ! 手や足がちぎれてあっちこっちに跳ばされてるよ!」
「あのムカつくやつも死んでる! 胴体真っ二つ!」
「でも、僕らは全然無傷です! すごいですねー、JHIのリパルショングレネード!」
「リパルショングレネードに興味を持った方は、概要欄からJHIのサイトに飛べるのでチェックしてくださーい!」
「TTCのスモールトークもよろしく!」
「それでは、今回はこのへんで!」
「『いいね!』とチャンネル登録を忘れずに!」
「「ヒカシューでした!!」」
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