末永く

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末永く

 いつも魔王に抱き締められながら眠るベッド。  キングサイズでマンガで見るような天蓋があり、マットレスはフカフカ。  城にいるメイドさんが毎日シーツをシワ1つなくかけてくれるので、いつも良い匂いがした。  しかし、そのシーツは現在進行形でぐちゃぐちゃにされている。  「ん······んっ」  「声、抑えないで。マヒルのエロイ声が聞きたい······」  「い······嫌、に、決まってる······っ」  最初はキスされただけだった。  唇と唇を合わせるやつではなく、舌が口内を舐めつくすほど深いやつ。  息も唾液も全部奪うかのような強引なものだが、それが意外と気持ち良かった。  それから少しすると、キスと同時進行で全身を優しく撫でられる。  器用だなぁと感心したのは初めだけ。  次第に全身が性感帯になったんじゃないかと思うほど触れられた場所に甘い快楽が走るようになった。  「ち、乳首ばっか、やめ······ひゃあっ」  「可愛いなぁ。いつか、ここだけでイケるように開発しようね」  酸素が足りず、荒い呼吸をしている時になにかを言われたがまったく頭に入ってこない。  さっきから後ろからくちゅくちゅと音が聞こえ、指が入ってくるのがわかる。  異物感がすごい······  「ふっ······んっ、んっ! ······ちょっそこ、やめ······」  「なんで? ここがマヒルのイイ所だよ」  「やっ······そこばっか、押すなぁ······」  中にあるしこりみたいなものをグリグリされる度、腹の奥がぞわぞわして熱が溜まっていく。  「やめっ······も、イクからぁああ」  頭に火花が散り、体がビクビクと痙攣する。  「マヒル、可愛い。初めてでイクのって難しいんだよ。才能があるね」  まっっったく嬉しくない才能だな······!  でもこいつは嬉しそうなのと、こっちの体力はもう0に近いのでなにも言わない。  「マヒル、挿れてもいい······?」  「······好きにしろ······!」  「うーん。本当は可愛くおねだりしてほしかったけど、それはまた今度でいいかな」  「おい、こら······」  なんつーキモイことを俺にさせようとしてるんだよ。  「あっそうだ。ねぇ、マヒル」  「なんだよ······」  今度はどうした?  まさか、ほかにも変なことを企んで──  「リューイ」  「え······?」  "リューイ"······?  「僕の名前。これからはそう呼んでほしいんだ」  「名前······」  そーいや、まだこいつの名前知らなかったな······  「魔王に名前はいらない。でも······マヒルには、名前で呼んでほしい」  「······」  そんなこと言うこいつの赤い目は······まるで俺に懇願しているように見えた。  魔王に名前はいらない、ね······  俺はゆっくりと手を伸ばし、そっとこいつの頬に触れた。
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