75人が本棚に入れています
本棚に追加
華やかな中庭での雑談会
リューイのことを受け入れたあと俺は······丸3日間ベッドの住人となった。
飯食ってる時も寝る時も挿れっぱなし。
気絶してる間は休憩できるが、そこで疲労感が回復するかと聞かれたら首を横に振る。
初めて知った。
気絶と寝るって似ているようでまったく違うんだと······
俺の頭に"腹上死"の言葉が浮かんだ。
『お前は俺を殺す気か!? 罰として半年、抱っこ以外全部禁止だ!』
動けるようになったあと、俺が激怒してそう言ったのは当然のことだろう。
リューイは目をうるうるさせながらも頷いた。
本人も反省してるみたいだが、ここは心を鬼にしないといけない。
これでも抱っこは妥協したんだ。
文句は云わせない。
······が、これはかわいそうだと魔王城で働く総勢1000人以上のほとんどが俺に許してあげてと嘆願書を出してきた。
さすがは、【皆に好かれる素敵な魔王様】······
仕方なく、"体力を考えて、翌日に支障が出ない範囲"という条件で2ヶ月で許した。
そして、それが1週間ほど前の話。
「それで、ちゃんと魔王様は守ってるの?」
「ああ。よっぽど、最初の罰が堪えたみたい。まぁ、不定期に好きにさせて爆発しないように調整していくつもりだ」
「あーそれがいいと思う。にしても、やっぱり魔王様は真昼くんのことが大好きだね」
「それを言うなら、リカルドも透のこと溺愛しているじゃん」
「まぁね。重すぎるくらいだけど······」
ここは魔王城にある中庭。
季節ごとに咲く花が変わり、毎日庭師のおっちゃん(年齢は忘れたそうだが、リューイよりも年上らしい)が手入れしているからいつ見ても綺麗だ。
そんな中庭にテーブルを置き、俺とリカルドに誘拐された透の雑談会というお茶をする。
まぁ、2人とも元気で晴れた日に······という条件があるけど。
俺が"副会長"から"透"呼びに変え、敬語を外したのは本人からの頼みによるものだ。
『ここは学校じゃないから透でいいよ。あと、敬語を聞くとリカルドさんのことを思い出すから、タメにしてほしいんだ』
誤解されたら困るが、透はリカルドのことが嫌いではない。
俺が追い出されたあと色々あって心身共に弱っている所を、リカルドに助けられた。
それからなんだかんだあって今では相思相愛。
この"なんだかんだ"の間になにがあったかを俺は聞かない。
聞いたら後悔しそうだから。
まぁ、そんな感じでよく俺とリューイペア、透とリカルドペアで休み時間中はイチャイチャしている。
こうしていると癒されると2人は力説し、俺と透は抵抗を諦めた。
そしてそのせいで魔王城には"緊急の用事がない限り、休み時間の間は執務室に近寄るべからず"という暗黙了解のルールが生まれたそうだ。
それでも透がリカルドのことを思い出すのを嫌がる理由はただ1つ。
『よ······夜が、疲れるんだ。だから、今だけ穏やかな時間がほしい······』
この時の透の顔はかなり疲労感がにじみ出ていて、とても他人ごととは思えなかった。
最初のコメントを投稿しよう!