ねむり薬

4/15
前へ
/15ページ
次へ
Case2 僕は今、監禁されている。 どうしてこうなったのかは分からない。 気づいたらこの部屋に閉じ込められていた。 部屋の中には、僕と見張りのやつが一人いるだけだ。 分かっている事は、僕は何者かに監禁され、実験に使われている事。 見張りのやつは、僕を使って実験をしている何者かに雇われている事。 そしてトイレを除き、決してこの部屋を出てはいけない事。 僕が目を覚ます時、やつは決まってこちらの様子を伺うように僕を見ている。 僕はそれが気味が悪くて仕方がない。 だから、嫌悪感を隠す事なくひと睨みし、そっぽを向いてやった。 するとやつは、その反応に呆れたように小さくため息を吐いた後、 いつも通りの堅苦しい口調で僕に言った。 「おはようございます。朝食の時間です。 食事はそちらに用意しておりますので、きちんと召し上がってくださいね。」 用意された食事なんて何が入っているか分かったもんじゃない。 絶対食べたくない。 僕が食事を口にするのを渋っていると、やつは続けて言う。 「また食事を拒否されるおつもりですか? 貴方の健康管理も私の仕事の内ですので、 あまりしつこいようでしたら、無理矢理その口に突っ込みますよ。」 以前にやつの食事を促す言葉を無視し続けたところ、 鼻を塞がれ口をこじ開けられて、強制的に食べさせられた過去がある。 あれはかなり苦しかった。 誰に雇われているのかは知らないが、 森間と名乗るそいつは、依頼主の命令に対してのみ忠実で、とにかく融通が効かないやつなのだ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加