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どれだけ時間が過ぎただろうか。
僕は重い沈黙を破り、ダメ元でやつに頼んでみる事にした。
「なぁ、あんたらの実験には付き合うからさ、
頼むからちょっと外に出してくれよ。
あんただって流石に息が詰まるだろ?」
本当は得体の知れない実験になんて付き合ってやる義理はない。
僕なりの精一杯の妥協だった。
しかしやつは考える素振りもなく、秒で返して来る。
「絶対ダメです。
貴方はトラブルメーカーなんですから。
実験の途中で貴方に何かあっては困るんですよ。」
僕がチンピラと揉めた際の後始末をさせられたのをよほど根に持っているのか、その目はとても冷ややかだった。
なんて頭のかたいやつなんだ。
こんなやつに二度と期待するまいと心に誓った。
それから少しした頃、今度はやつが口を開いた。
「もうすぐ昼食の時間です。
私は食事の準備をして来ますので、くれぐれも変な気は起こさないよう、大人しくしていてくださいね。」
やつはそう言って、部屋を出て行った。
当然しっかり鍵はかけて行った。
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