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戦う機械
「やっぱりねー、遅かったか、仕方ないなぁ。レストランで見せて呉れればよかったのにね。じゃあ、オレ、帰るわ」
住留は、肩をすくめて、朱美に背中を向けた。
「ちょ、待ってよ。待って!」
朱美は、住留の手を引っ張って、引き留めた。
「いやー、ただの中二病の妄想なんで……」
その強く握る手を振りほどいて、闇夜に消えようとした。
だが、朱美も慢心の力を込めて、それを引っ張った。
指輪の力なのか、いつもよりも何倍もの力が出て、大男一人を拘束することができたのだ。
「ゴメン、ゴメン。悪かった、悪かったわよ。ねえ、何とかして。この指輪、外す方法あるんでしょ!」
ニヤリ。
住留は、足を止めてほくそ笑んだ。
「まぁー、そこまで言うのなら、教えんでもないな」
背中越しにそう言い放って、くるりと振り向いた。
朱美は、気が動転したのか、半べそである。
「チ……。意地悪な人ね。ねえ、どうすれば良いの? どうしたら、この指輪外せるの? てか、結婚式はどうすれば……」
「結婚式? ああ、そんなのは君に指輪を嵌めさせる方便だろう。まあ、3日後に君は『戦う機械』になって、ヤツの下僕になるんだから、同じことだけどな。あはははは」
ムカッ
瞬間湯沸かし器レベルに頭に来た朱美は、無意識に右ストレートを住留の顔面に炸裂させた。
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