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HIS TURN
「ああ、兄貴、さすが。やるなあ」
僕は、そう言って思わず唸った。
目の前の初めて会ったばかりの年頃の女性を鮮やかに物にした兄貴が、彼女とそばの茂みに消えていくのを見送る。
「僕だったらあんなきれいな女性だと気後れしちゃうよなあ」
そう独りごちると、背後から老人の笑い声が聞こえてくる。
「ふぉーふぉっふぉっ!」
僕は驚いて振り向いた。
いつのまにか老人がすぐそばに立っている。
彼は額が広く、顎先から生えた白いひげが胸元まで伸びており、ローマ時代のような一枚布の衣を羽織っていた。
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