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MY TURN
あっさりと応じた女は、あっさりと自分から衣類を脱ぎ、あっさりと俺のを受け入れた。
そして、その中で俺はあっさりと果てた。
変な表現になるが、何もかもが順調だった。
少年期から歳を重ねたそれまでが何事にも苦労しすぎたせいか、いささか拍子抜けした。
「うまく行くときは、こんなものさ」
そう自分に言い聞かせてみたものの、違和感が先立つ。
俺は女に夜を過ごす小屋へ案内された。
シャワーもベッドもある清潔で快適な空間だった。
彼女の残り香の漂う中、酒に口をつけながら、やがて酔いに任せて眠りについた。
翌朝、俺が目覚めるとそこに昨日とは違う別の若い女が立っていた。
あたかも俺が目覚める時刻を見極めていたかのように、卓上には熱々のベーコンエッグとトーストが湯気を立てたコーヒーとともに並んでいた。
「やけに気が利くな」
女性に気を遣われた記憶があまりなく、思わずそう言ったのだが、女はとてもうれしそうに笑顔を浮かべた。
ただ、親切にされたことがなく、駆け引きばかりが横行する場所に長く身を置きすぎたのだろう。俺も素直に受け取れなくなっている。
それでつい余計なことを口にした。
「何が狙いなんだ?」
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