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[エピローグ]
ーーside 召喚獣のミナカ
「ほんとのほんとのほんとに! あの時は死んじゃうって思ったんですからね!」
「詐欺師にお灸を据える、と言ったはずです。ミナカ君だって詐欺師の1人だったでしょう?」
「うっ」
あれから、わたし達は占い師さんのところに住まわせていただくことになりました。真っ当なやり方で人とコミュニケーションを取りながら商売をしていけているのは、占い師さんの絶妙な世渡り術のおかげです。そして、わたし達もまた他人との付き合い方を学ばされています。
ご主人様は占い師さんに今日も調薬のお手伝いをさせられています。「基礎がイマイチ」と言われる度、偉そうなご主人様が苦虫を噛み潰したような顔をしているので、わたしは少し胸がスッとしています。
わたしはわたしで、裏方として薬の在庫管理や書類仕事をしています。今までは治癒の力を使った反動ですぐに疲れていましたが、今では自由に動ける時間も増えました。
誰かから必要以上に恨まれることも、怯えながら人前で嘘を吐く必要もない生活は、思ったよりもわたしの心を軽くしてくれました。
「自分に出来ることで賢い生き方をするのが大人という奴です」
占い師さんがいつも言うこの言葉は、心がまだこどものわたしには理解できていないのでしょう。
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