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叫び
わたしの学校では、変わった校則がある。
第14条 我々応援団員たちが、エールを届けます。
その一文を見たとき、ありがた迷惑だなと思ったの。
****
「誰だよ。応援団員にチクったの」
クラスで噂好きのお喋りさんが、わたしがいじめを受けていることを団員に知らせたらしい。
「なによ、先輩にチクリやがって」
クラスのリーダー的存在のレイカとその取り巻きたちが、わたしを囲んでいたはずなのに、応援団員に囲まれている形になる。
「わたしはなにも・・・」
馬鹿馬鹿しい。応援されていじめがなくなるなら、みんな頼ってる。
真ん中にいたのはボブヘアーで可愛い印象の中学2年生。
応援団員の服を着て、腰を反らし。
「あたしたちー応援団員はぁぁ」
大声で張り上げてさ、目立ちたいだけじゃん?わたしも、レイカたちと同じことを思ってた。
「和田美保さんを全力で支えまぁぁぁす!!」
支えるなんて言葉だけじゃん
こんな派手なパフォーマンスして、周囲の生徒はスマホを片手に撮影し出して。
「や・・やめてもらえませんか!!」
わたしもつられて声を張り上げていた。
大声で意見を言ったのは久しぶりだ。
わたしは、ずっとその言葉を言いたかったんだ・・・
「和田さん、もう1回叫びましょう?みんな和田さんに続いてー」
やめてもらえませんかぁぁー!!
エールを終えた応援団長が、レイカを見て首を傾げていく。
「あたしたちは全校生徒の味方でありたいんです。彼女、彼らは面白がって拡散するでしょう。そうすると困るのは三苫さんのほうじゃないんですか?」
応援団長の一声がレイカたちの心に響いたからだとわたしは思う。その後、レイカたちがわたしに構うことはなくなった。
やめてもらえませんか!!宣言した日、わたしはのどを痛めた。
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