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誰もが不可能と信じていたことが成し遂げられたその瞬間、世界中が沸いた。
昔から言われてきたことだ。
「バカは死ななきゃ治らない」
「バカにつける薬はない」
しかしその前提は根底から覆された。
そう。日本の慶明大学薬学部薬学研究科の鹿野翔馬教授が何十年もの研究を経て、そして何年もに渡る治験を積み重ね、ついに「バカにつける薬」を発明したのである。
「副作用の危険はないのか?」
学会ではこのような質問が飛び出した。しかし治験の結果は明らかだった。看護師立ち会いの下科学的側面から公正に薬はつけられ、結果を評価するための検査も臨床心理士、理学療法士など複数の眼で適正に実施されている。年単位で継続的に観察した結果、正しい用法で使えば副作用が起きる確率は極めて低いことが実証されている。
「本当に効くのか?」
この質問も飛び出したが、こちらも結果は明らかだ。被験者が利用を1年間続けたことで後先を考えない問題行動が減ったという学校教師の証言や、ウィスクラー式知能検査の数値が20以上改善したという本人の証言、そして被験者の発語のレパートリーが大幅に広がり、意思疎通がしやすくなったという近親者の証言などが続々と寄せられている。
今世紀最大の大発明はマスコミからも大々的に取り上げられ、この新薬「フールキラーX 300ml」は20XX年の4月1日、華々しいデビューを飾り、世に出回ることになった。
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