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ある日、僕が通っている小学校で、町内マラソン大会をすることになった。
僕たち高学年は町中を皆で走るのだ。
しかし僕の隣の席の由美ちゃんはそれを嫌がっていた。
「私足遅いから、皆に置いていかれちゃう、その日は休みたい」
由美ちゃんは体力がなく、走るのはクラスの皆より遅い。
そのことを彼女は恥ずかしがっているようだ。
そうつぶやく由美ちゃんに僕は明るくこう言った。
「足が遅いのは恥ずかしいことじゃない、逃げちゃダメだ!」
僕の言葉に由美ちゃんは不安そうにしながらも頷いた。
「う、うん、一人じゃ不安だけど頑張ってみる」
翌日、マラソン大会に由美ちゃんは出席した。
由美ちゃんはキョロキョロと不安そうに周りを見渡す。
僕は由美ちゃんに笑いかけた。
「今日は一緒に頑張ろう」
その言葉に由美ちゃんは不安そうに笑った。
やがてマラソンが始まった。
やはり由美ちゃんの足は遅く、皆に置いていかれる。
僕は前から由美ちゃんに声をかけた。
「いつまでも待っているから、頑張って!」
僕はゴールまで一直線に走った。
間もなく僕と他の皆はゴールまでたどり着いたが、由美ちゃんだけが
いつまでも戻ってこなかった。
その翌日、由美ちゃんは遺体となって発見された。
そして数日後、由美ちゃんを亡き者にした犯人が捕まった。
犯人は警察の取り調べで
「前から可愛い子だと思ってずっとつけていた」と供述したらしい。
その発言をニュースで聞き、僕は由美ちゃんを励ましたことを後悔した。
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