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ダンスパートナー
「ニブは、もともと苛められていたけど、ダンスパートナーの件で、さらにエスカレートしたのかも」
「苛めって、そんなに酷かったのか?」
「ええ……」
なぜか苛めのターゲットはニブのみで、一緒に行動しているアマニやキヌアには何もされないでいた。
「陰口は当たり前。教科書を捨てたり、体操着を汚したり、ああ、水泳の授業で持ってきた水着を切られたこともあったわ」
「水着を?」
アサイは目を丸くして驚いた。
「ええ。それで授業に出られなくなったの。教室移動の時とかで、最後に出るのは大体彼女たちだったから、人がいなくなった隙にやっていたんだと思う」
アマニは、そのことについて口にするのも汚らわしいと思っている。
「悪質だな」
「アサイのダンスパートナーに相応しい人ランキング投票ってあったでしょ。あれも彼女たちだと思うの。あそこに出ていた名前に、彼女たちが入っていなかった。最初から、ニブが最下位になるように仕組んでいたのよ。恥を掻かせようとね」
「ああ、そういうことか。結果しか見ていなかったけど、変だと思っていたんだ。女子の大多数が0票で終わるものなのに、なんで二藤さんだけがフォーカスされていたのかと。最初から操作されていたってことか」
「ええ。対象が全女子だったら、何名もが0票で最下位になっていたでしょう」
あの時のランキングは、すでに削除されていて見返すことができない。
「アサイに聞きたかったんだけど、どうしてニブを選んだの?」
「それは……」
アサイは、核心を触れられて困っている。
「ニブを好き……だった?」
「……違う」
「え?」
「僕が彼女を好きかというと、それは違う」
「好きでもないのに、選んだの?」
「そうだ」
「ウソでしょ……」
衝撃の事実。
誰もが好きな子を選んでいると信じていた純粋なアマニは、ショックで絶句した。
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