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プロローグ
「うわぁ、すごい雪!」
ワクワクしながら早起きしてカーテンを開けると、窓の外は一面真っ白!
大晦日に降りはじめた雪は、新年の朝を迎える頃には、山の中の小さな村を真っ白に染めあげていた。
山あいの村に住むおばあちゃんちですごすお正月。
わたし杉崎日菜が普段住んでいる街ではなかなか見られないくらいたくさんの雪が降り積もっているのなんか見ちゃったら、このまま寝てなんていられないよ!
昨晩夜ふかししてまだ熟睡中のお父さんたちを起こさないようにして、わたしはそーっと部屋を抜け出した。
綿のたっぷり入ったコートを着て、毛糸の帽子と手袋をはめたら、準備完了。
玄関を出ると、朝のキンッと冷え切った空気が、ほっぺたを突き刺した。
寒~い。でも、すっごく気持ちいい!
降り積もった雪に、音が全部吸い取られてしまったかのように、しんと静まり返っている。
玄関を出てすぐのところにある低い木の上に降り積もった雪を、わたしはそっと手袋で触ってみた。
うわぁ、ふっかふか。
その雪を手に取って、きゅっきゅっと握り固めてから、コロコロと地面を転がしてみる。
うーん、まん丸にするのって、意外と難しいなあ。
向きを変えながら、コロコロ、コロコロ。
うん、だんだんいい形になってきた。
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