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3.だから!
「ただいまー」
玄関から家に入ってから、お店に通じるドアを開けて、おばあちゃんに帰宅を知らせた。
「おかえり、日菜。学校はどうだった?」
「うん。楽しかったよ」
「そう。よかった。そうだ。もうちょっとしたらお昼ごはんにするから、ちょっと休んでなさいね」
「うん。ありがと、おばあちゃん」
ドアを閉めた向こう側から、
「おばちゃん、これまだある?」
「ねえ、おばちゃーん。これいくら?」
という子どもたちの声が聞こえてくる。
学校が終わって、さっそく買い物に来たのかな?
ちらっとお店の方を見ただけでも、三、四人はいるみたいだった。
なにをして待っていようかなぁ。
今日は始業式だけだったから、あっという間に学校は終わっちゃった。
家に遊びにいくような友だちなんかもちろんいないし、なんにもやることがない。
そうだ。また絵でも描こうかな。
今日は、悠宇ちゃんと俊哉くんがホメてくれて、すごくうれしかったから。
そんなことでやる気が出ちゃうなんて、わたしってほんと単純。
前の学校ではずっと隠していたけど、本当はマンガ家になるのが夢なんだ。
ひとりぼっちのとき、わたしの心を慰めてくれたのがマンガだったから。
わたしも、そんなマンガが描けるようになりたいって思ってるの。
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