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トントントンと軽やかに階段をのぼっていって、自分の部屋のドアを開けたところで、わたしはぴたりと足を止めた。
「ちょっと! なにやってるの⁉」
だってだって、わたしの部屋の中にはなぜか俊哉くんがいて、わたしんちから持ってきた、まだ開けていない段ボールのガムテープを、勝手にバリバリはがしていたんだよ⁉
ほんと信じられない!
「勝手に開けないで。っていうか、勝手に人の部屋に入らないでよね!」
「だって、日菜の絵がもっと見たいんだもん」
悪びれる様子もなく、無邪気に口をとがらせる俊哉くん。
「いや、『だって』じゃなくて。人の部屋に勝手に入って、勝手に荷物をあさっちゃいけないんだよ⁉」
「ふうん、そういうもんなんだ」
「そういうものなの!」
「……ごめん。オレ、ダメって知らなくて」
わたしが強く言うと、しゅんとうなだれる俊哉くん。
う……そんなふうに落ち込まれると、わたしが弱い者いじめしてるみたいじゃん。
「……見たいなら、ちゃんとわたしに言って」
机の横にランドセルをおろすと、今、俊哉くんがガムテープをはがしたばかりの段ボールに手をかける。
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