3.だから!

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 それは、ちょうどわたしが絵を描き溜めたノートやスケッチブックの入っている段ボールで。 「ほら、これなら見てもいいよ」  春休みに描いたばかりのスケッチブックを引っ張り出すと、俊哉くんに差し出した。  その途端、目をキラキラと輝かせる俊哉くん。 「見てもいいのか? ありがとう、日菜」  これは、お父さんたちが海外に旅立つちょっと前に、「せっかくの春休みだから、旅行に行こう」って急に言い出して、隣の県の観光牧場に行ったときに使ったスケッチブックだ。  ポニーに乗ったり、ミニブタの芸を見たり、仔牛にミルクをあげたり。  一日遊んだあとは、牧場のすぐ隣にあるかわいらしいドーム型コテージにお泊りもした。  楽しかった二日間の旅行の間、あっちこっちでお父さんと並んで絵を描いた、思い出のいっぱい詰まったスケッチブックなんだ。  俊哉くんが、ぺらっ、ぺらっとページをめくっては、 「うわぁ、こっちはブタで、こっちは馬か。すっげーリアルだなー」 「オレも練習したらこんなふうに描けるようになるかなあ」  なんてつぶやいている。  そんなことを言われたら、ちょっと……いや、だいぶくすぐったい。 「じゃあ、おばあちゃんが帰ってくるまで、一緒に絵でも描いてみる?」 「描く!」  わたしが俊哉くんにたずねると、間髪入れずに元気な返事が返ってきた。
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