プロローグ

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 夢中になって二つ目の雪玉も転がしていたら、どこからかじっと見つめられているような視線を感じた。  きょろきょろとあたりを見回すと、門の外からわたしのことを興味津々で見つめる二つの目に気がついた。  頭の上の三角形の耳が、ひょこひょこ動いてる。でも、ネコじゃなくて……あれは、キツネ?  まだすごく小さい。きっと子ギツネだ。 「キツネさんも、一緒に遊ぶ?」  わたしが声をかけると、逃げていくどころか、そっと門の下をくぐって、庭の中に入ってきた。  よく見たら、頭のてっぺんの毛が、寝ぐせみたいにぴょこんっと跳ねている。  ふふっ、かわいい。 『いいの?』 「うん、もちろん」  わたしがコロコロ転がす雪玉に、子ギツネがぴょんぴょん飛びついてくる。  手伝ってくれているつもりなのかな?  いい大きさになったところで、うんしょうんしょともうひとつの雪玉の上に乗せてっと。  顔の真ん中と、頭のてっぺんにふたつ、三角形の雪玉をくっつけて。  目と鼻のところに、真っ黒な石をきゅっと埋め込んだら、完成! 「ほら、キツネさんの雪だるまだよ」  子ギツネが、雪だるまの周りをうれしそうに駆け回る。 『すごーい。そっくりだ!』 「日菜ー、そろそろ朝ごはんだから戻ってらっしゃい」  家の中から、お母さんの声がした。 「はーい」  家の方に向かって元気よく返事をすると、もう一度子ギツネの方に向き直る。 「一緒に遊んでくれてありがと、キツネさん。またね」 『うん。また今度、絶対一緒に遊ぼうね』  わたしが手を振ると、ぴょこんぴょこんと飛び跳ねて返事をしてくれた。
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