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へぇ、眉間のシワって、こんなに深く入るものなんだ。
下唇に力を入れすぎて、あごのところに梅干しみたいなシワができている。
夢中になって描いていたら、「やっぱうまいなー」という声が耳元でした。
「ちょっ……途中で見ないでよ!」
「えー、いいじゃん。ケチ」
慌ててノートをぎゅっと胸に抱いて隠すと、俊哉くんがわたしの隣で不満げに口をとがらせる。
飽きてしまったのか、いつの間にか俊哉くんのノートは、ちゃぶ台の上に伏せて放りだされていた。
「出来あがったら見せるから」
「うー……わかったよ」
「俊哉くんも見せてね」
「ヘタクソだからヤダ!」
慌ててちゃぶ台の上からノートを拾いあげると、俊哉くんはだーっと逃げていってしまった。
もうっ。わたしの絵は、勝手にのぞき見してきたのに。なんだかズルい。
でも、誰かとこんなふうに向かいあって似顔絵を描きあったのははじめてで……すごく楽しかった。
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