3.だから!

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***  その日の夜。  ピロリ~ン。  あ、お母さんからLIMEの返信だ。 『楽しそうで安心した』っていう言葉と、ほっぺたを赤く染め、うれしそうな顔をしたキツネのスタンプが返ってきた。  実はね、今日学校から帰ってから、みんなの似顔絵入りの絵日記を描いて、お母さんたちに写真で送ったんだ。  しばらく連絡してなかったし、心配してるかなって思って。  ……っていうのは、口実で。本当は、わたしがお母さんとおしゃべりしたかっただけ。 『お父さんは、毎日寝る間も惜しんで絵に夢中です』  向こうで借りたお部屋なのかな?  お母さんの送ってくれた写真には、広いアトリエで、大きなキャンバスと真剣に向き合っているお父さんが写っていた。  どこにいても、お父さんはお父さんだ。全然変わらない。 『がんばりすぎて体壊さないでね、って伝えといて』  そう返信すると、スマホを机の上に置いた。  お父さん、お母さん。わたし今、久しぶりに学校が楽しいんだ。  だから、安心してね。
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