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「そ、そこまで言うなら、どうして昨日家に着いたときに教えてくれなかったの? わたしならダマし通せるって思ったから? やっぱりキツネが学校に行くなんておかしいって、自分でも思ってるんでしょ」
「……じゃあ、日菜はオレがキツネだって知っても、なんとも思わなかった?」
「それはっ……」
「キツネと一緒に住むなんて、イヤだって思ったでしょ?」
俊哉くんの寂しげな声を聞いて、ハッとする。
そうだ。わたしも学校で同じような目に遭って、傷ついたのに……。
「……ごめん」
思わずうなだれると、くすっと笑い声がした。
「日菜は正直者だな。そういうとこも、オレ好き」
ななななに言ってるの⁉
イスごとがたっと一歩俊哉くんから遠ざかると、俊哉くんは何事もなかったかのように、お椀を持ってお味噌汁を飲み干した。
「ごちそうさま。ほら、日菜も急がないと、初日から遅刻するぞ」
そう言って、俊哉くんがニカッと笑う。
ほんっとマイペース。
ちょっと落ち込んだかと思ったら、全然元気そうだし。
あーもうっ。この先不安しかないんですけど!
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