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(だって、ヴィクトル・アリーヴァって、攻略対象の一人じゃない……!)
カーティアが娼館エンドを迎えている今、彼だってソフィアに想いを寄せているはずなのに。
なのに、どうして彼がカーティアを抱こうとしているのか。……意味が、わからない。
「あぁ、そうだ」
何のためらいもなく、ヴィクトルが首を縦に振る。
「俺は、カーティアを抱く。……それだけだ」
元々口数の多くない彼らしい、いろいろなことを端折った言葉だ。
けれど、言いたいことは嫌というほどに伝わってくる。
つまり、彼は――カーティアを苦しめたいのだろう。
(そうよ。愛しの女性を虐げた女を、苦しめたいのだわ)
その手段がハジメテを買うなんて……屈辱的でしかない。
ゆっくりと、ヴィクトルの目を見つめた。彼の目が、微かな情欲を宿しているように見えてしまい、そっと視線を逸らす。
「……時間がない。さっさとするぞ」
そんなカーティアの気持ちも知らないのだろう。ヴィクトルはカーティアの膝裏に手を入れ、そのまま軽々と横抱きにした。
彼はオルフィーオの側近であり、かつ護衛だ。鍛えられたその身体に横抱きにされると、安定感がある。だけど。
「お、降ろしてくださいっ!」
易々と抱かれたくない……!
その一心で、カーティアはヴィクトルの腕の中で暴れる。なのに、その抵抗は意味をなさない。
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