ハジメテの客

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「ソフィア様を虐めたことに関しては、謝罪します。だから、どうかっ……!」  ハジメテを奪って、苦しめることだけは、やめてほしい。  懇願するように彼の目を見つめる。瞬間、彼がごくりと息を呑んだのが、カーティアにもわかった。 「……そんなもの、必要ない」 「っつ……!」  ヴィクトルがはっきりと、カーティアの言葉を突っぱねた。  その所為で、カーティアの顔から見る見るうちに血の気が引いてしまう。……こんなことに、なるなんて。 (本当、前世の記憶を思い出すのが遅いわよ……!)  もっと早くに思い出せていたら、こうなることを回避できたはずなのに。 「そんな、怯えるな」  カーティアの緊張に気が付いてか、ヴィクトルがそう声をかけてくる。 「優しくしてやる」  ……それは、一種の慈悲なのだろうか?  いや、違う。 (そもそも、女性にとって無理やりハジメテを奪われるのは、一種の拷問だもの……)  つまり、彼はこれ以上カーティアを苦しめる必要はないと、判断したのかもしれない。  そう思っていれば、カーティアの身体が寝台に優しく降ろされた。そして、ヴィクトルも寝台に乗り上げてくる。 「……カーティア」  彼が、まるで愛おしいとばかりにカーティアの名前を呼ぶ。  それからしばらくして――カーティアの唇に、ヴィクトルの唇が重なった。
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