403人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
「ソフィア様を虐めたことに関しては、謝罪します。だから、どうかっ……!」
ハジメテを奪って、苦しめることだけは、やめてほしい。
懇願するように彼の目を見つめる。瞬間、彼がごくりと息を呑んだのが、カーティアにもわかった。
「……そんなもの、必要ない」
「っつ……!」
ヴィクトルがはっきりと、カーティアの言葉を突っぱねた。
その所為で、カーティアの顔から見る見るうちに血の気が引いてしまう。……こんなことに、なるなんて。
(本当、前世の記憶を思い出すのが遅いわよ……!)
もっと早くに思い出せていたら、こうなることを回避できたはずなのに。
「そんな、怯えるな」
カーティアの緊張に気が付いてか、ヴィクトルがそう声をかけてくる。
「優しくしてやる」
……それは、一種の慈悲なのだろうか?
いや、違う。
(そもそも、女性にとって無理やりハジメテを奪われるのは、一種の拷問だもの……)
つまり、彼はこれ以上カーティアを苦しめる必要はないと、判断したのかもしれない。
そう思っていれば、カーティアの身体が寝台に優しく降ろされた。そして、ヴィクトルも寝台に乗り上げてくる。
「……カーティア」
彼が、まるで愛おしいとばかりにカーティアの名前を呼ぶ。
それからしばらくして――カーティアの唇に、ヴィクトルの唇が重なった。
最初のコメントを投稿しよう!