2.身請け宣言

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(そもそも、私はいつまでここにいればいいの? 需要がなくなるまで、働かなくてはいけないの……?)  もしもそうだとすれば、解放されるのは十年以上後だろうか。もしかしたら、二十年先かもしれないが……。 「……逃げたい」  自然とそう呟いて、カーティアは扉を見つめた。……重厚な扉。多分、正攻法では逃げられないだろう。  ならば……。  そう思って、カーティアは開いた窓のほうに近づく。……窓から顔を出して、下を見つめる。 (……二階、いえ、三階かしら?)  だとすれば、落ちたらただでは済まないだろう。ごくりと息を呑んで、カーティアはそっと窓枠に手を突く。  ……このままここで多数の男性に弄ばれるくらいならば。いっそ、ここで落ちてしまったほうがいいかもしれない。 「死んだとしても、それはそれで構わない」  どうして窓が開いているのかはわからないが、こういう選択肢を視野に入れてくれたのかもしれない。  ……ごくりと息を呑む。高いところは好きじゃない。むしろ、怖い。だけど……。 「この際、背に腹はかえられない――!」  小さくそう呟いて、カーティアは飛び降りようとする。が。 「カーティア!」  後ろから、誰かに抱きしめられた。……驚いて、目を見開く。その人物は、カーティアの身体をぎゅうぎゅうと抱きしめている。……痛くて、背骨がミシミシと言っているような気がする。 「カーティア。なに、しているんだ」 「……ヴィクトル、さま」  恐る恐る顔を上げて、その人物の名前を呼ぶ。そうすれば、彼は今までに見たことがないほどに、焦ったような表情を浮かべていた。……その手は震えており、なにか怖いことがあったのは一目瞭然だった。
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