2.身請け宣言

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 彼の言葉の意味を、カーティアはすぐには理解できなかった。  何度か目をぱちぱちと瞬かせて、ぽかんとする。 「……は?」  しばらくして、カーティアの口から零れたのはそんな短い声だった。 (い、今、このお人なんて……?)  カーティアの頭は、彼の言葉を理解しようと必死に動く。でも、やっぱり理解できない。  そもそも、これは聞き間違いだろうに……。 「早く出て行く準備をしよう。邸宅に、あなたの部屋を用意している」 「……い、いや、いや」  邸宅とは、誰の邸宅なのだろうか?  頭の中が混乱して、理解なんてちっともできない。頬を引きつらせ、カーティアがゆっくりと振り向く。  彼の目が、カーティアだけを見つめていた。 「……なんだ?」  ヴィクトルが怪訝そうにそう問いかけてくる。  そのため、カーティアは震える唇を必死に動かす。 「いえ、その。……ヴィクトルさま、は」 「……あぁ」 「ど、どういう、おつもりなのですか……?」  問いかけは、震えている。  カーティアが彼の目を見つめて尋ねてみる。彼は、一瞬だけきょとんとしていた。 「あなたを、身請けするだけだが」 「そ、そのことの、真意です!」  そうだ。だって、身請けには多額のお金が必要だ。彼がそこまでしてカーティアを助けり義理なんてないだろうに。
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