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その言葉は、明らかにカーティアを挑発している。以前のカーティアならば、その言葉に遠慮なく突っかかっただろう。
だけど、もうそんな気力もない。だから、カーティアは肩をすくめる。
「そうね。私も、とても不安だわ」
実際、それは真実だ。
(前世も、今回も。男性経験なんて、ないものね……)
カーティアの前世は、大学生だった。死因はよく覚えていないが、ろくなものじゃないだろう。趣味は乙女ゲームとライトノベルを読むこと。大学生になり、年齢制限がある乙女ゲームも嗜むようになり……この乙女ゲームを、プレイした。
(内容はおぼろげだけれど、カーティアのことだけは、覚えていたわ)
あの後記憶を必死に引っ張り出し、ゲーム内のカーティア・ヴァイスの末路を思い出した。
やはりカーティア・ヴァイスという令嬢は、乙女ゲーム内の悪役令嬢だった。ヒロインソフィアを虐め抜き、最終的に破滅する女。もちろん、ゲーム内では嫌な女として描かれている。
そんなカーティアの本来の末路は……確か、修道院行きだったはずだ。
(ただ、唯一違うのが)
このゲームには逆ハーレムルートがあり、それに関してのみカーティアの末路は違った。
それこそ……この娼館に落ちるというものだ。
(つまり、ソフィアは攻略対象である三人を、全員篭絡したということね)
カーティアは逆ハーレムルートはプレイしていない。知識があるのは、ネットで知識を手に入れたためだ。
そもそも、カーティアは逆ハーレムが好きじゃない。そのため、どの乙女ゲームも逆ハーレムルートはプレイしていないのだ。
(オルフィーオ殿下、その護衛。そして……目の前のこの男。みんな、ソフィアの虜なのね)
だから、この目の前の男性――名前をネーロはカーティアを忌々しいと睨みつけているのだろう。
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