1.前世の記憶を思い出したのは、断罪の最中でした

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 それは、容易に想像がついた。だって、自分は愛しのソフィアを虐めた悪女。嫌い憎む対象なのだから。 「それにしても、珍しいな」  不意に、ネーロが声を上げた。だから、カーティアは彼に視線を向ける。彼は、その目を真ん丸にしている。 「いつものカーティアならば、俺の言葉に逆上してくるだろうに」  彼が、当然のようにそう言ってくる。そりゃそうだ。今までのカーティア・ヴァイスならば……そうするに間違いないから。 「……そりゃ、そうじゃない」  なんといっても、自分は前世の記憶を思い出してしまったのだ。この世界が、ゲームの世界であるということも、知ってしまった。 「あのままの私じゃ、ろくな結末はたどらないものね」  もうすでにろくな結末をたどっていないということは、おいておいて。  まぁ、とにかく。 (少しでも娼館でいい印象を与えて、一刻も早く出ていきたい)  そんな、好きでもない男性と毎日身体を重ねるなんて――ごめんすぎる。  その後は、つつましく平民として暮らせばいい。そうだ。そうに決まっている――。 「さっさと、出て行かなくちゃ」  そう思って、カーティアはぎゅっと手のひらを握りしめた。
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