4.凍てつく白に彩りを

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 父が来年度で旅団長からまた転属になると、館野一尉も副官解任となる予定。真駒内に転属してきたのは、遊撃レンジャーの教育隊への配置を今後展開する予定が組まれているから、らしい。寿々花の予想では、彼はその前、来年度には父の副官の状態で三佐になるのではないかと思っている。数年は彼がここにいる予定なので、その間に結婚をして、拓人をみなで見守っていけると、二人の間ではその心積もりを整えているところだった。 ---❄  彼の自宅に到着すると、小雪が舞い降りてきていた。  真駒内公園の緑が目の前に見える彼の自宅にお邪魔する。  リビングに灯りをつけてカーテンを閉める時、ちらちらと落ちてくる小雪を見つめて、寿々花は呟く。 「拓人君が喜びそうですね」 「そうだな。本州では滅多に雪は降らないだろうし。雪遊びをいっぱいさせてあげたいよ」 「自衛隊のお父さんは、スキー技能も取得しているから、教えてあげられますね」 「岳人さんにも言われたよ。こっちの近所で暮らすようになったら、一緒にスキー旅行に行きたいって。俺にもスキーを教えてくださいねって言われたよ」 「わ、いいですね。それ。トマムとか子供と一緒に行っても楽しいと思いますよ」 「いいな、それ。二月の連休に間に合うかな。はあ、そのためにも年内で片付けるか。うまく行くといいんだけれど」 『親権手続き』についてはいろいろ不安があるけれど、でもこれからの彼にはしあわせしか待っていないと寿々花は思っている。 「一尉が本気を出したらひとたまりもないでしょう。お父さんも本気だったしね」
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