4.愛すほど澄んでいく

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 将馬と顔を見合わせて『岳人パパから連絡が来るまで、ひとまず寝かそうか』とふたりで話し合っていた時だった。将馬のスマートフォンが鳴る。  ある程度仕事に目処がついたとの知らせだったようで、将馬がそのまま拓人を車に乗せて、岳人パパの自宅へと送っていった。  寿々花もひと息つく。たったこれだけでも子育ては大変だなと感じる。  自分の子供ができたら、もっと気合を入れなければならない。  お兄ちゃんになるだろう拓人と、異母兄弟になるだろう我が子と両方見ていくのだから。 「あ、ひとまずお母さんに極秘ミッションについて相談しておかなくちゃ」  メッセージアプリだと気がついてくれないことが多いため、寿々花はすぐさま電話をする。将馬が帰ってこないうちにと、母に手短に説明すると『たっくんがそんなことを!?』と母も驚いていた。 「極秘でお願い。それでたっくんが……」 『うん。わかった。お父さんにも話しておくね』  電話を切ってしばらくすると将馬が帰宅する。母と話しているところでなくてよかったと、もうほんとうにハラハラドキドキ。新米ママ寿々花の義理息子のための作戦下準備、夫に内緒でなんとか進めていかなくてはならない。  なのに彼にすぐに気がつかれる。 「……寿々花、なにかあったのか」 「え、お母さんに電話しただけだけど」 「お母さんに連絡するほど困ったことでも?」  あー、どうしてこの三佐には表情や雰囲気だけで気がつかれちゃうのかなあと、寿々花はたじたじになる。 「……子供、できたら、どうしたらいいかって……だって、いつそうなるかわかんない、から、最近……」  ほんとうのことだった。そのつもりの生活をしている。
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