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出てきたケーキにはチヌークをかたどったクッキーが乗っていたので、拓人は大興奮。すっかり芹菜ママと慣れ親しんで、楽しそうに食べていたことも寿々花は思い出す。
だから今日も拓人は遠慮なく、義足をして出迎えてくれた芹菜ママの隣に並んで歩いて行く。
玄関からリビングに入ると、この日は神楽教官と、芹菜ママの息子『広海さん』も在宅していた。
「お、拓人君。来たな。教官、待っていたよ」
「いらっしゃい、拓人君。おじさんも今日はちょっとお手伝いさせてもらうな」
拓人がリビングにキッチンをキョロキョロと見渡した。
「今日はユズちゃんいないんだね」
日曜日で皆がいると思ったようだった。
そこは『ユズちゃん』の夫である広海が答える。
「ユズ、今日は荻野のお店でお仕事の日なんだ」
「あ、そっか。お店はお休みの日も開いているんだもんね。広海おじちゃんは荻野の仕事お休み?」
「うん。今日は芹菜ママ、俺の母さんのアシスタントをするからお休みしたんだよ」
「広海おじちゃんもお菓子作れるの?」
「んー、どちらかというとお菓子のアイデアを出したり、売ったりしたりするほうが得意かな~。今日は芹菜ママのお買い物のお手伝いをしてきたんだ」
芹菜ママに似た優しいハンサムさんと言いたくなる息子さんが、拓人をキッチンへと連れて行く。
既にケーキをつくる材料と調理器具が揃っているので、拓人の目が輝いた。
「広海おじちゃんが車を運転して、一緒にお買い物をして準備してくれたのよ。まずは、レンジャーのバッジのデザインをしましょうか」
ケーキ作りの下準備をしましょうと、芹菜ママの声で拓人も寿々花もダイニングテーブルにおじゃまする。
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