7.お父さんといっしょ

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 岳人と将馬が並んで座っている椅子と椅子の間に拓人が入ってくる。 「パパ、僕のために毎日ありがとう。三佐、パパとおなじぐらい大好きだから、これからも、パパとずっとお友だちでいてほしいです。すずちゃんと、四人でずっといっしょにいたいです。パパがひとりで大変にならないように、助けてくれてありがとう。だから、父の日に、パパとおなじようにプレゼントしたくて、すずちゃんにお願いして手伝ってもらったんだ」 「じゃあ……、今日は寿々花ちゃんと遥ママとケーキを焼いていたんだ?」  パパの問いに、拓人は首を振る。 「ううん。教官のおうちで芹菜ママに教えてもらって、手伝ってもらった。教官がもっていた冬のレンジャーバッジを見せてもらって、真似してクッキーを作ったんだ」 「え。神楽教官のところで……!?」  将馬が寿々花へと確認する目線を向けてきたので、そっと頷く。  黙って教官と連絡を取り合っていたことに気後れしている寿々花のために、父の一憲が助け舟をだしてくれる。 「たっくんがね、芹菜さんのチヌークのケーキがおいしかったから、僕もそれをパパたちにプレゼントしたい、さらに、神楽教官が館野とおなじバッジを持っているから見せてもらってチヌークの飾りみたいにレンジャーバッジの飾りを乗せたいと言うから、あちらのご家族に私が連絡をして頼んだんだよ。ま、つまり。今日、館野と岳人君は、私と母さんに乗せられて、ゴルフに連れ出されたってわけ」 『え、お父さんも一枚噛んでいたんですか!』と、パパと三佐が一緒にのけぞった。 「快く引き受けてくれてね。小柳のお母さんはお菓子作りに慣れているらしいから。神楽君も元レンジャーとして嬉しかったみたいだよ」
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