7.お父さんといっしょ

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 あっという間に子供らしいおねだり顔になったので、そこで涙目のパパと三佐が『おいおい』と笑い出す。 「ま、いいか。いつもならちゃんと、ごはんをしっかり食べた後と言いたいけれど。パパもすぐに食べたいな。いいよね。将馬さんも、すずちゃんもすぐ食べたいでしょ」 「そうね。今日は特別としましょうか。ね、将馬さん」  彼も涙を拭って笑顔になる。 「そうだな。三佐も、いますぐに食べたい」  今日はきちんとごはんはそっちのけ。好きなように食べようということになった。  父も身を乗り出して『このクッキーバッジはなかなかだぞ』とスマートフォンで拓人が作ったケーキふたつを撮影しはじめる。  寿々花がケーキナイフを白いロールケーキに入れようとしたのだが。 「うわー、やっぱり寿々花待ってくれ。これ冷凍してどれぐらい保つ? やっぱり壊したくない。このまま保存しておきたい」 「いえ、三佐。無理ですから。きちんと写真に残して、おいしく食べなくちゃ。ねえ、たっくん」 「ぼく、白いケーキと抹茶ケーキ、いっしょに食べたい」 「えええ。そんな、いまこのケーキを目にしたばっかりなんだぞ。すぐに壊して消えるだなんて……もったいない。ずっとそばに置いておきたい」  将馬がロールケーキを腕に囲ってしまい、なかなかケーキナイフを入れさせてくれない。 「三佐、来年もつくるよ。ぼく」 「……そ、そうか……。いや、初めてのプレゼントはこれしかないからな」 「おい。館野、おいしく食べるのが贈り主への最大の御礼だぞ」 「そうですよ。三佐。陸将補からのお言葉ですよ」 「俺、いま、プライベートなんで。上官の言葉が聞こえません」 「館野が……、逆らった……!」 「三佐、ぼくと食べよう。パパと一緒に」
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