11.元義両親の目的

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 そこに館野一尉に座るように促した。父はそのまま、ネームプレートが置かれている旅団長デスクへと戻り座り込んだ。  鳴沢夫妻と館野一尉が向き合っていたが。どうしたことか話す様子がない。  拓人君だけが、紙パックのジュースをちゅうちゅうと吸ってご機嫌。それだけが救いのような空気感だった。  やっと口を開いたのは、館野一尉だった。 「ありがとうございました。とても楽しかったです。よい思い出にいたします。あとはつつがなく皆様でお過ごしください」  館野一尉に残っているのは、もう会話ではなく『最後の挨拶』だけのようだった。  鳴沢夫妻がどう出るのか。静かに黙っているままなので、もう今日はこれでお開きということで良いのだろうか。  しかし、徐々に鳴沢氏の表情が強ばってきていた。  奥様も緊張しているのか、口元を強く結んだままうつむいている。 「将馬君……。娘に会ってくれないか」
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