1276人が本棚に入れています
本棚に追加
事情を知っているマスターがさっそくオーダーを取りに来てくれる。
鳴沢パパはコーヒー、マスターが幼児が好みそうなものをいくつかあげると『ちいさなパフェ』と拓人が答える。
そこで今回の対面をするために打ち合わせていたとおりに、まずは寿々花が拓人に話しかける。
「拓人君。あそこにいるおじさん、誰かわかるかな」
窓の向こうにいる両親へと指さす。拓人は誰だかわからないようだった。
「小さな犬と遊んでいる人?」
「うん。あそこにいるおじさんね。拓人君が自衛隊のお祭りの時に会った、おっきな部隊の隊長さんね」
やっと拓人が思い出したようにして、身体全体でハッとしてくれた。
「コンビニでお土産買いなさいっておこづかいくれた『りょだんちょ』。しょうほって人」
「そう。お姉さんのパパなの。一緒に居るのはお姉さんのママと、うちのワンちゃん」
「あの犬、お姉ちゃんのおうちの犬なの」
「うん。ヨキっていうの。拓人君は『たっくん』と呼ばれているでしょう。ヨキは『よっ君』って呼ばれているの。一緒に遊びたい?」
またキラキラな目を見せてくれ『うん』と元気いっぱいわくわくした仕草をみせてくれる。
「じゃあ、パフェができるまで遊んでみようか」
ふたりの男性に目配せをして、寿々花が拓人の手を握って連れ出す。
そのタイミングを計っていただろう父と母も気がついて、カフェの入り口まで迎えに来てくれた。
ひさしぶりに会う『しょうほ』が私服でただのおじさんだったにも関わらず、正面で対面すると拓人も『ほんとだ。しょうほだったんだ』とすぐに思い出してくれたようだった。
最初のコメントを投稿しよう!