3.パパのおともだち

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 男同士、気持ちをぶつけ合って、思いがひとつにまとまりひと息ついている静けさの中、将馬が唐突に言いだした。 「あの、ほんとうは私が自衛官だからと、気を遣って拓人に自衛隊のことを教えてくださっていたのではないですか」  岳人パパもその問いにやや当惑し動きを止める……。だが、そのあとすぐに彼がおどけた笑みを見せた。 「えっと、俺も男子なんで。自衛隊、好きですよ。いつか会うかもしれないから、拓人には自衛隊がどんな仕事か少しずつ教えておこうと思っていました。消防に警察、戦隊ものヒーロー。興味を持ち始めたころ、自衛隊の車両なども混ぜ込んで『日本を護っている人たち』と教えました」  将馬が『やっぱり』と笑む。 「初めての対面の時、『自衛隊好きです』と言ってくれて、うっかり涙が出てしまいましたよ」 「拓人から戦車に乗っただの、装甲車で一周してもらったとか、ヘリコプターが地面すれすれに飛んでくれたとか聞いて。うわ、俺もめっちゃ体験したい!! と、羨ましい限りでしたよ」 「では、次回の記念日には、今度はパパと拓人を招待しなくちゃですね」 「マジですか! っていうか。館野さん、その胸のバッジ。レンジャーですよね! 幹部だからもちろんレンジャーだと思っていましたけれど! 金色のバッジは幹部レンジャーですよね、しかも、その雪山のバッジは冬季遊撃レンジャーじゃないっすか! すっげ!」  岳人パパは素の自分がでているだろうことも忘れ興奮し、今度はスマートフォンを取り出した。 「あの、金色レンジャーと冬季遊撃のバッジを一緒につけているなんて凄いので胸元だけ記念に撮っていいですか」 「SNSなどに掲載せず、お手元で大事にしてくださるだけでなら」
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