0人が本棚に入れています
本棚に追加
真剣な眼差しで見つめる。
そして、意を決したように口を開いた。
「ここは何処だ?」
さっきと同じ繰り返しだったが、今度は少女じゃない、妖艶な女性だった。
俺の肩に手を置いたまま、ゆっくりと顔を近づけて来る。……近い! 目の前に彼女の顔がある。
その瞳は閉じられていて……。
唇と唇が触れ合う。
数秒後。
見つめ合ったまま、動けなくなる。
ワナワナと女の子みたく震えながら、困惑して、動揺が隠せなかった。
「…お、俺、こんなつもりじゃ…」
そう言って目を逸らす。
だけど、彼女はそれを逃さず、俺の顎を掴んで視線を戻して、ニィーと笑う。
「何言っているの?」「“付き合う”ってこういうことだから」と囁くように言う。
そしてもう一度キスをした。
これで夢の世界に行き、俺はこの女性と強制的につがいとなった。
夢なのか現実なのか…。
ここで、俺の意識は無くなったのだ。
終
最初のコメントを投稿しよう!