残った世界

2/4
前へ
/13ページ
次へ
涼しい風が吹いていく。 涼花ーーー。 あの時と同じく暑い夏がやって来た。今年も酷暑で外出すら辛い日々だ。 だけど、そんな暑い夏を、涼花は優しく包み込んで、爽やかなクリームソーダのように冷やしてくれた。 優しくて思いやりを持ち、誰に対しても分け隔てなく接してくれる子だった。 もう会えないかもしれないけど、私の心の中にはいつもいる。 私と彼女は、ただのクラスメイトだったけれど、それでも私の心に残り続ける人。 もっと親しくなっていたら、たくさんの他愛ない話をして、笑ったり、時には悩みを一緒に乗り越えたり、一緒に努力を重ねたりが出来たかもしれない……。 私はずっと前から、涼花のことが気になって仕方なかったんだと思う。 今更だけどね……。 でもその想いは、今も変わらない。 涼花は、私にとって特別な人だった。 だからこの気持ちは、伝えないまま……。クラスメイトのままで、終わらせる。 友達になれる機会は幾つもあったのに、躊躇って駄目にしたのは紛れもなく、私自身なのだから……。 それに私は、彼女にどうしても伝えたいことがあったのだ。 それが何かって? ふっ、それはね――――。 ―――ありがとう!大好きだよ!!―――
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加