勇気が現れた

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勇気が現れた

 ――い、嫌だ! 戦争なんて嫌だ! まっぴらごめんだ!  僕はただ一人、岩陰に隠れて両足を抱え込みながら、尻を地に着けている。  ここは戦場。僕は兵士として招集され、現在ここにいる。  僕が住んでいる国には徴兵制があり、十代半ばを過ぎた健康な男子は皆、兵役を課せられる。  運が良ければ二年ばかり兵士としての訓練を受けるだけで、後の進路は自由なのだが……  僕は運が悪かった。国が隣国と揉めまくった結果、戦争が起きたのだ。  だから、体に問題がなかった僕は、兵士として戦場に送り込まれたのだ。  確かに健康面は問題ない。  でも、だからといって、特別力があるというわけでも、運動神経がいいというわけでもない。  それに……  殺し合いが死ぬほど嫌なんだよぉぉっ!!!  嫌だ……  死にたくなんかないよぉぉ……
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