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「頑張って悪魔を倒すよ。『勇気』君」
あたかもそばに親しい人がいるように語り掛けたNo.4814。だが、近くにいるのは兵士達であり、「勇気」と呼ばれる人間は、存在しない。
「ユウキクンって誰だよ」
そばにいる兵士が茶化すように言ったが、そこに悪意は感じられず、むしろ、果敢に戦うNo.4814のことを好ましく思っているようだった。
「僕の友達さ」
No.4814は爽やかな口調で答えた。体に傷が多数あるにもかかわらず、その表情は颯爽としている。
「ところでNo.4814」
別の兵士がNo.4814に問いかけた。
「何だい?」
「ここで人の名前、言っていいのかよ。言ったら罰せられるんじゃなかったのか?」
「大丈夫。彼は人間じゃないみたいだし」
「人間じゃない?」
「そう、僕にしか見えないし、誰も触ることができない。だから、人間ではない、特別な存在なんだよ」
――こいつの頭、大丈夫か?
――神、もしくは神の使いが来たんだろうな。
兵士達の頭の中に、そんな疑問や妄想がよぎったが、そんなものはすぐに飛び去って行った。
イケイケと言わんばかりのNo.4814。
そんな彼の足元に向かって、黒い球体が放物線を描いて飛んできた。
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