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悪魔を倒せ
「何だあいつは!」
ダークグレーの鎧を身にまとったB国軍兵士が叫んだ。
視線の先には一人の兵士。鎧兜を身に着けているため、髪型や体つきまではわからないが、その顔立ちからすると、かなり若い。十代半ばくらいだろう。
だが、鎧兜の形状がB国のものと違い、ライトグレーで丸みを帯びている。A国軍兵士である。
そのA国軍兵士だが、様子がおかしい。
あどけなさが残る顔は、やたらと紅潮しており、目はぎらついている。腕には矢が刺さっているが、ものともしない様子である。
そして、足元には複数の死体。いずれもB国軍の鎧や兜を着けている。
あの様子だと変な薬でもやっているのだろうか。とにかく、ヤバそうな奴だ。B国軍兵士は、そう思った。
「この悪魔め!」
A国軍兵士がB国軍兵士を見つけるや否や突進してきた。
――こちらに来る!
危険を感じたB国軍兵士は、とっさに身構え、槍を突き出す。
槍に衝撃が走った。
B国軍兵士が穂先に視線を送ると……穂先がなくなっている!
「――!!」
B国軍兵士の表情が変わってからまもなく、一つの首が宙を舞った。
首はB国軍兵士のものである。
宙を舞った首は、同じく宙を舞っていた穂先と同じ所に落ちた。
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