願いが叶う薬

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会社で働き始めて5年目に入り27歳になった僕は、そろそろ結婚して家庭を持ちたいと思うようになった。 会社内でお付き合いする女性を探すのはどうかと思っていた僕は、結婚相談所を利用しようと考えて入会した。 結婚相談所に自分のプロフィールと希望の相手女性の条件についての情報を登録し、結婚相談所のマッチングシステムで相手を探した。 結婚相談所から僕の希望に合った相手女性のプロフィールが届いて、そのプロフィールを見てお見合いをするかどうかを決めることになる。 僕は今まで3人の女性とお見合いしたけれど、僕の方からお付き合いを希望しても、相手の女性から断られるという結果になった。 僕は交際相手の女性の条件を高くしているつもりはなく、女性とお付き合いした経験が乏しい僕は、どうしたらいいのか途方に暮れていた。 そうこうしているうちに年末を迎えて会社は正月休みに入った。 こんな時僕は、白髪の老紳士のことを思い出して、また助けてもらおうと考え始めていた。 新年を迎えた1月1日、僕は午後から富士宮市内にある浅間大社に初詣に行った。 この時の僕も神様にすがるような思いで、女性とのご縁があるようにお賽銭箱にそっと小銭を入れて手を合わせてお祈りをした。 僕はまた白髪の老紳士に会いたいという強い気持ちを持っていて、その後バスで朝霧高原方面に向かって朝霧自然公園に足を運んだ。 今日は天気も良く朝霧自然公園に到着すると雄大な富士山を眺めながら公園内をぶらぶらと散歩し、少し歩き疲れたところで公園内のベンチに座って富士山を眺めていた。 このベンチは、以前白髪の老紳士と会った場所と同じベンチだった。 僕は結婚がどうなるのだろうかとぼーっと考えながら富士山を眺めていた。 すると僕が座ったベンチの右隣に、以前出会ったステッキと黒のセカンドバックを持ってグレーのコートを着た白髪の老紳士が座って、やはり富士山を眺めているようだった。 僕が声をかけようとすると老紳士が、 「今度は結婚で困っているようだね!」 と僕の思いを察して言葉をかけてくれた。
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