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「そんなことよりも高校入試は自信がないのかね?」
老紳士の質問に僕は、
「はい、希望の高校に受かりそうになくて、とても不安です。
勉強も思うようにはかどらなくて…」
と正直な思いを口にした。
すると老紳士は、
「信じてもらえないと思うけれど、弓弦君に願いが叶う薬をあげるよ!
この薬は1錠しかないけれど、弓弦君がどうしても願いを叶えたい日の朝に1錠服用すると、自分の思うように…いや思った以上に物事が良い方向に進むよ!」
と話をすると、セカンドバックから薬の小瓶を取り出して僕に手渡そうとしてきた。
僕は少し不安に思って躊躇していると老紳士が、
「受け取るだけ受け取ってくれないか?
飲むか飲まないかは、弓弦君が決めればいい…」
と言ってきたので、僕はその薬の小瓶を素直に受け取った。
「きっといいことあるよ!」
老紳士は笑顔で僕にそう言葉をかけて、ベンチを立って去っていった。
僕は時間を忘れて薬の小瓶に入った飲み薬をじっと見つめていた。
夕方になって辺りが暗くなってきた頃、僕は朝霧自然公園を出てバスで自宅に帰った。
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