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住宅街を走っていると、前方からもこちらに向かってきている人の影が見え始めた。
「――――白野君!!!!」
「蝶赤先輩!!!」
無事に曄途と合流ができ、膝に手を置き息を整える。
優輝も流れ出る汗を拭いながら口角を上げ、曄途の肩に手を置いた。
「無事に合流出来たな」
「まったく、人にここまで心配かけておいて、平然とした顔を浮かべないでください」
「へぇ、お前も俺の心配をしてくれていたのか? それは嬉しぃねぇ」
いつものようにおちゃらけた感じに言う彼に、曄途は迷うことなく大きく頷いた。
「当たり前です!! 僕の、大切な友人なんですよ。心配します!!」
素直な言葉で怒られた優輝は一瞬きょとんとするが、なんと返せばいいのかわからず舌打ちを零しそっぽを向いた。
黒髪から覗き見える耳は赤く染まっており、二人は笑った。
「素直じゃないんだから」
「うるさい。早く、この一輪の薔薇に白薔薇を入れ込むぞ」
優輝がポーチの中にしまい込んだ、赤と黒の薔薇を取り出し、曄途へと渡す。だが、今までの話が分からない彼は、何故赤と黒が混ざっているのか、何故渡されたのかわからず困惑。
一華が優輝を睨みながらも、ため息を吐き女神様との話を簡単に説明した。
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