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朝7時、リサの部屋のドアがノックされた。リサは準備万端だったがすぐにドアは開けない。
「おはよう、僕だよ」
ユウの声だ。リサはすぐに解錠しドアを開けた。爽やかな笑顔がそこにあった。
「まあいいでしょう。でも一旦ドアチェーンをしてから扉は開けるようにしてください」
唇を尖らせてはいたが、リサの目は期待と好奇心で大きく開かれていた。
食堂はバイキング形式だった。さっさとお皿に盛り終えたユウは先にテーブルに着きコーヒーを啜っていた。リサは目移りしては行ったり来たりを繰り返していた。リサがテーブルに着いた時にはユウは食事を終え席を立った。
「行っちゃうの?」
置いていかれた仔犬のような目でユウを見た。
「コーヒーのお代わり持ってきます」
リサはホッとして朝食を食べ始めた。
しばらくすると隣の席にコーヒーが置かれた。ユウかと思って見上げると、そこには昨夜豪華ホテルのエレベーターで会った男性がいた。
「……!」
口の中がいっぱいで何も言えなかった。その代わり男性の方から声を掛けてきた。
「おはようございます。良く眠れましたか?」
男性はにっこりと人懐っこい笑顔を見せた。
「これからお仕事なのかな?」
「……え?」
男性はリサをじっと見つめ聞いた。
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