旅館の一夜

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旅館の一夜

 宿につき部屋でしばらくくつろいでいると、仲居さんが入ってきた。 「お食事の用意をさせていただきますね」  仲居さんは大きな座卓の上に色々な料理を並べ始めた。 「お刺身はお連れ様がみえたらお運びしますね」 「お連れ様?」  その時襖が開いてユウが入ってきた。 「もう持ってきてもらって大丈夫ですよ」  ユウは座布団に座り料理を眺めた。 「あと飲み物もお願いします」 「お飲み物は何になさいますか?」 「そっちのお嬢さんにはジュースを。僕はウーロン茶で」 「あら、お酒じゃなくてよろしいんですか?」 「下戸なんです」  ユウはにっこりと笑った。  仲居さんが部屋から出ていくとユウは箸を持ち料理を食べ始めた。 「リサも食べましょう。美味しいですよ」 「う、うん」  朝食も一緒に食べた。お昼は車の中でハンバーガーを食べた。そして夜も一緒。 「今夜は一緒に食べるんだね」 「こういう旅館はこういうものなんですよ」 「ふうん……」  だったら毎日こういう旅館がいいなとリサは思った。
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