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楽しい気分で食事は終わった。しかしユウから「部屋から出る事は禁止」と命令され、大浴場は諦めた。しかし部屋にも小さいながら露天風呂がついていたので、リサは温泉を満喫できた。リサは拘置所での出来事などすっかり忘れ、幸せな気分で眠りに就いた。
朝、スマホの着信音でリサは起こされた。
「もしもし……」
「リサ、起きた? 出発するからすぐに支度して」
「えぇ?」
ユウからだった。電話を切って時間を確認するとまだ5時だった。
ふくれっ面をしながらも折角だからと露天風呂に急いで飛び込み顔を洗った。それから支度を整え30分後にリサは部屋を出た。
「ゆっくりでしたね」
「これでも急いだんだから! 女は支度に時間がいるのよ」
玄関前に停まっている車にユウは乗り込んだ。
「あれ、その車は?」
「レンタカーです。自分で運転した方が都合がいいですからね」
またリサを狙う奴らとカーチェイスになっても、タクシーの運転手では対応しきれないだろう。
「さあどうぞ。旅館に頼んで朝ご飯用意してもらってあります」
後ろの座席に乗り込むと、小さな折り詰めが置いてあった。開くとおにぎりとおかずが入っていた。ウニやホタテ、松前漬けなどが並べられていた。
「でも何でこんな早い時間なの?」
リサはおにぎりを頬張りながら聞いた。具は昆布の佃煮だった。
「通勤ラッシュに巻き込まれる前に移動したかったんです。眠かったら寝ていいですよ」
ユウもおにぎりを頬張りながら答えた。
「次は何処へ行くの?」
「今空港に向かっています。次は飛行機に乗って長崎に行きます」
「はあ!?」
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