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断鎖師の運転手は、代々前世も断鎖師の運転手だった者がなる事になっていた。前世の記憶のない断鎖師を理解し導くためだ。
しかしそれを断鎖師に知られてはならない。それを嫌がる断鎖師がかつていて、運転手の前世を持たない者をパートナーにした事があった。結果、パートナーのいいように操られ、断鎖すべきでない者まで断鎖してしまった。
ユウは前世でそうならないように努力した。断鎖師との信頼関係をしっかり築こうと頑張った。その結果、2人は愛し合ってしまった。
2人とも仕事には真摯に取り組み良きパートナーとなった。お互いがお互いを思いやり尊重しあった。
しかし思いやるが故に不幸は突然やって来た。
パートナーが疲れて眠っているのを見て、起こすのは可哀想だと思った断鎖師は1人で仕事に出掛けてしまった。そして誘拐され、1週間後に遺体で発見された。断鎖に反対する組織による犯行だった。
運転手は悔やんだ。自分を責めた。自ら命を絶とうとも思った。しかし死ぬわけにはいかなかった。
断鎖せずに死んだ断鎖師は断鎖師の記憶を持って生まれ変わる。断鎖師の記憶を持つ子どもが生まれてくるはずだ。その子どもを守らなければならない。次は絶対に失敗してはならない。
運転手は待った。そして数年後、断鎖師の記憶を持つ少女が発見された。
急いで駆けつけると少女は運転手を見て涙をこぼした。断鎖師の記憶とともに、運転手と愛し合っていた記憶もあったからだ。
このまま自分が運転手をしてはいけない。断鎖師の運転手の記憶を持つ者は他にもいる。断鎖師に替えはいないが運転手にはいる。
運転手は他の者にその役目を譲り、自らは姿を消した。
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