狙われる断鎖師

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「暗殺されたとしたら断鎖しないまま死ぬって事だよ。だとしたら次に生まれてきた時その術は覚えてる。だから断鎖は途絶える事はない」 「あ、なるほど。じゃあ暗殺されても安心ですね」 「安心って……何が安心なのよ! 私が暗殺されないようにしっかり守るのよ!」 「はいはい。了解です」  クスクス笑いながら返事をするユウにリサはムッとして唇を尖らせた。 「でもさっきのヤツら、何だったんだろう」 「殺す気があったらさっさと衝突してくるか、銃で撃ってくるはずです。でもそれはしなかった。だからきっと誘拐目的だったんでしょう」 「誘拐? 私を? 何で? 身代金なんて払えないわよ!」  断鎖師はそんなに儲かるわけではない。料金も依頼者の所得に応じた金額しかもらっていない。無一文の人もいる。なのでそこらへんの会社員とそんなにかわりはない。ただ移動費や宿泊費、それに移動に必要な車などは国から補助をしてもらっている。リサはまだないが外国から依頼がくる事もある。そんな時は飛行機代やホテル代なども出る。リサは外国からの依頼を密かに心待ちにしている。 「犯人に聞かなきゃ分かりませんが、断鎖の技術を知りたいとか、リサを使って金儲けをしようとかじゃないですか?」 「お金持ちだけに断鎖するって事? ないない。お金持ちは人生の楽しさを知ってるから断鎖しようなんて思わないわよ」 「なるほど」  そう思っていたリサだったが、次の依頼者はお金持ちだった。
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